H25.1 寝たきりの原因について
リハビリテーション科医長
岩田 裕子 医師
風邪がはやる時期ですが、手洗い、うがいの予防を心がけておられますか?
冬の季節は肺炎が多くなります。そして、肺炎などの治療後に足腰が弱り、リハビリが必要になるかたも少なくありません。感染予防対策は万全に、そして、風邪をひいたら、早めにかかりつけ医へ受診されますようお勧めします。
前置きが長くなりましたが、今回は、寝たきりの原因についてお話します。
寝たきりの原因 ― 1位は脳卒中
22年度版の厚生労働省の国民生活基礎調査によると、65歳以上の人の要介護(継続して常時何らかの介護が必要とみなされる状態。要介護1~5まで5段階あります)の直接原因は、1位脳卒中(24・1%)、2位認知症(20・5%)、3位高齢による衰弱・老衰(13・1%)、4位骨折・転倒(9・3%)、5位関節疾患(7・4%)となっています。
介護度4、5はほぼ寝たきりの最も重い状態です。介護度4の30・3%、介護度5の33・8%の原因疾患が脳卒中であるため、その予防と早期発見が重要となります。
要支援の原因は ― 関節や筋肉の衰え
要介護となる手前の段階に要支援(継続した支援があればなんとか日常生活が自分でも送れる状態)があります。こちらの原因疾患は、順位が変わって関節疾患が19・4%で最も多く、次いで高齢による衰弱(虚弱)が15・2%、脳卒中(15・1%)、骨折・転倒(12・7%)と続きます。
要支援の原因は、半分近くが加齢による足腰の虚弱や、膝や腰といった関節や骨の弱さが原因ということになります。
介護保険をとりまく問題
要支援者・要介護者における単独世帯(独居)の割合は年々増えており、22
年の統計では要支援者の40 ・7%、要介護者の55・6%は独居となっています。
また、親や配偶者を介護するための離職者数も12万人ともいわれ、同様に増加傾向であることから、国の環境整備が大きな課題となっています。
寝たきりの予防策として生活習慣病の治療がもちろん第一ですが、自立した生活のためにも、足・膝・腰の関節や筋肉を意識した適度な運動や、骨粗鬆症を抑える食生活を普段から心掛けることが、やはり大切ではないでしょうか。