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第05回 脳卒中のはなし(3)

神経内科(院長) 岡田 和悟

前回説明した診断機器の進歩とともに脳卒中の治療もここ数年で新しい薬剤やカテーテル治療が登場し、今後も新しい治療法が登場する見込みです。今回は、これらの治療法とリハビリテーション、脳卒中予防のガイドラインについて説明します。

脳出血の治療の原則は、安静と血圧管理、出血を止める薬剤や脳の腫れ(脳浮腫)をおさえる薬剤の投与ですが、出血の量や場所により、脳外科手術が行われる場合があります。クモ膜下出血では、原則として、出血の原因となった血管のこぶ(動脈瘤)に対して、クリップをかけて再破裂を予防する手術が行われます。また最近では、頭を開けずにカテーテルを用いて血管内手術として、コイルによってこぶをつめてしまう治療法が選ばれることもあります。脳梗塞では、血管がつまってしまいその先に血液が流れなくなることが問題であるため、血液の流れをよくしたり、血管を広げたりする薬が使われます。これらの薬も改良されて以前に比べ改善率が良くなっています。最近の話題として、1993年に米国で発症3時間以内の脳梗塞に対して、強力な血液のかたまりを溶かす薬(組織プラスミノーゲン賦活剤)が認可され、良い成績が報告されています。米国では、この新しい薬の認可後、脳卒中をブレインアタックと呼び、国民への呼びかけが行われています。日本でも近々この薬が使えるように、臨床試験が行われる予定です。脳卒中に対するこれらの治療は、発病後できるだけ早く始めることが最も重要であり、症状が軽いからといって様子をみるのではなく、一刻を争って、受診されることが後遺症を少なくするポイントといえるでしょう。

脳卒中になった場合には、症状が安定し次第、リハビリテーションが開始されます。手足の拘縮(使われないために固くなってしまうこと)や合併症の予防のため、早期から開始されることが主流となっています。リハビリテーションには、関節可動域訓練や歩行訓練などの理学療法、主に上肢の訓練や日常生活動作の訓練を行う作業療法、失語症や嚥下障害に対して訓練する言語療法があります。家庭や職場復帰を目指して、これらのリハビリテーションが行われます。

最後に脳卒中の予防に関しては、基礎疾患である高血圧や糖尿病、高脂血症、心臓病などの管理、治療が大事です。かかりつけ医とよく相談の上、これらの病気をきちんとコントロールしておきましょう。日常生活での注意点として、米国脳卒中協会からだされている脳卒中予防ガイドラインを紹介して、脳卒中のはなしの締めくくりとします。

1. 普段の血圧を知っておく。(少なくとも年一度は血圧を測定して、高くなっているようであれば、主治医に血圧をコントロールしてもらう)2. 心房細動の有無を調べておく。(心房細動があると、脳卒中を引き起こす血栓ができやすくなる)3. 喫煙者は禁煙する。4. 飲酒はひかえめに。5. コレステロールが高いか調べておく。6. 糖尿病があれば、医師の勧告に従い、症状をコントロールする。7. 日常の生活に運動習慣を取り入れる。8. 低塩、低脂肪の食事をとる。9. 循環障害があるか医師に尋ねておく。10. 脳卒中の症状(顔面や手足に力が入らなくなる、目が見えない、めまい、または激しい頭痛など)があった場合は、すぐに医療機関を受診する。

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