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第49回 『くも膜下出血』

脳神経外科医長(地域医療支援部副部長) 福田 稔

脳の血管に関係して突然発症する脳卒中という病気の中にくも膜下出血があります。頻度は少ないのですが、死亡する可能性が高いため、しばしば問題になる病気です。

今回は、くも膜下出血のお話をします。

くも膜下出血の原因は80%以上が脳動脈瘤という脳の血管の異常です。脳動脈瘤は、血管壁の中膜という部分が元来、一部欠損しているところに、血流や血圧の影響が加わり、風船の様に膨らむために生じると考えられています。 このため、脳梗塞や脳出血のように生活習慣を見直せば予防できる脳卒中とは少し性質が異なります。

くも膜下出血は、発症すると極めて危険な状態になります。

危険な状態といっても、誰もがすぐに意識がなくなりしゃべらなくなるわけではありません。出血が軽い場合には、よく風邪と間違われることもあります。このような方でも、しばらくすると再出血を生じ重篤な状態になり死亡する恐れがあるということです。 再出血をおこした場合、死亡率は70%以上に及びます。再出血は簡単に生じます。そして再出血を繰り返すと助かる見込みがなくなるのがこの病気の怖いところです。

再出血のほかにも問題があります。再出血せず軽症の状態で診断された方でも、死亡したり、後遺症を残したりすることがあります。

出血した後に徐々に頭の中に生じる変化が原因です。そして、そのひとつが脳血管攣縮と呼ばれています。 出血して、しばらくすると脳の血管が細くなり頭に血が通わなくなる現象です。これを治療する特効薬は未だに発見されておらず、血圧を上げたり、血液をさらさらにしたりして、再度血管が太くなるのをじっと待つことになります。

破れた脳動脈瘤をそのままにしておくと再出血を生じ危険です。脳血管攣縮も、破れたところを治さなくては有効な治療ができません。 くも膜下出血と診断されたら、まず破れた脳動脈瘤の治療を行い、その後、合併症に対して対症療法を行なうのが治療の流れになっています。破れた脳動脈瘤は、頭を切って瘤をつぶす開頭術という治療を行うのが主流です。

最近では、脳血管内治療という治療法が進歩してきて、頭を切らずに治療することも可能になりました。

残念ながら日本の医療機関においては、血管内治療を行うことができる施設が少ないのが現状です。しかし、開頭術よりも治療成績が良いとの認識から、今後、日本でも徐々に普及していくものと考えられています。

市立病院脳神経外科では、この脳血管内治療を平成12年から実施しています。

開頭術も血管内治療も、瘤の再出血を予防するものです、再出血の予防ができたら、その時点からくも膜下出血との戦いが始まります。 大切なことは、くも膜下出血の重症度が軽いほど、後遺症を残さずに治る可能性が高いということです。

これまで経験したことがない肩こり、首の痛み、頭痛が「風邪かもしれないけど、どうも気になる」ようでしたら、脳神経外科にご相談ください。

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