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第13回 胸痛を自覚したら

循環器科医長 梅野 哲弘

高齢者の増加に伴い心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患の患者数は年々増加、うち急性心筋梗塞は年間約15万人が発症、そのうち30%の方が亡くなられています。

心臓は心筋と呼ばれる筋肉からなり、血液を身体のすみずみまで送り出すポンプの役目をはたしています。一方、心臓自身も冠(状)動脈と呼ばれる3本の動脈によって栄養されています。 狭心症や心筋梗塞はこの冠動脈が狭窄または閉塞することによって、心筋に十分な血液が供給されず心臓の機能が低下する病気といえます。 狭心症の場合、冠動脈の狭窄のため心臓の働きに必要な血液が不足気味になります。この状態で激しい運動を行ったり、強いストレスが生じたりすると心臓は一時的に強い血液不足となり、心臓からは危険信号としての狭心痛(前胸部痛、時に左腕や背中などに痛みや圧迫感)が生じます。 この症状は安静にすることやニトログリセリンの舌下を行うことで血液不足が改善されると数分から15分前後で消失します。

一方、急性心筋梗塞の場合には冠動脈が完全に閉塞してしまい、心筋に血液が全く流れ込まない状態となることで生じます。

血管がつまった部分の心筋は血液が流れなくなり動きは悪化し、心臓のポンプとしての力が低下します。また狭心症よりも激しい胸の痛みが持続し、呼吸困難、冷や汗、吐き気などが見られます。ニトログリセリンの効果は通常ありません。 狭心症や心筋梗塞の診断においては、症状(強さ、持続時間の違いなど)、心電図検査(必要に応じて運動負荷心電図)、血液検査(心筋梗塞では血清酵素値の異常値出現)、心臓エコー検査、細いカテーテルを用いた冠動脈造影検査による冠動脈の狭窄あるいは閉塞部分の確認などを総合して行います。

狭心症の治療においては薬物療法が中心となります。しかし、日常生活でも狭心症発作が簡単に起こるなど重症の場合には冠動脈造影検査を受け、冠動脈形成術(風船療法)や手術(冠動脈バイパス術)が選択されます。 一方、急性心筋梗塞の場合には出来るだけ早期に閉塞した冠動脈部分での血流の再開をはかること(再潅流療法)で、壊死に陥る部分を減らすことができるとされています。 治療には各種血栓溶解剤の使用、緊急冠動脈造影検査および冠動脈形成術などが選択されます。 また心筋梗塞では典型的な症状の場合だけでなく、肩凝りや胃潰瘍(腹痛)などと間違えやすい痛みなど多様な症状を示します。さらに発症直後は危険な不整脈も生じやすいといわれています。

胸痛発作が初めておきた場合や、持続する激しい痛みや圧迫感、冷や汗や呼吸困難などが生じた場合には軽率な自己判断は避け我慢せず救急車を利用し急いで病院を受診されることをお勧めします。

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